在りし昔の乱婚を想わせる神事
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伊予の国中渡の新田八幡宮
毎年旧二月初卯の日に行われる例祭の夜に限り、白手拭いを被っている婦人は、人妻でも寡婦でも処女でも自由に交合することを許され、社地の内外所々に醜態を演じたものである。土地の者がこの蛮風を怪しまなかったのは、この祭神が縁結びの神であって、かく野合することが却って神慮にかなうものとの迷信から来ていた。明治維新後は警察署の取締が厳重となって衰え、明治21年頃から廃止されるようになった。
駿河の国由井ヶ濱の山井神社
盛夏のある日に行われる祭礼は、夜を徹して行われ、この夜だけは祭礼に群集する総ての女子は、既婚・未婚を問わずいかなる男子でも通ずることが当然とされていた。土地の者は年一回の性的解放であると言っている。
播州飾磨郡の道辻祠
年末に男女陰陽の形の供物を作り、氏子の未婚者である男女はこの拝殿に打交り入りて戸を閉じて縁を引いた。宮守は竹の杖でお払いをし、その杖で妻妾を選ばず腰を打って安産を祈願した。