バレンタインデーの思い出
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社会人になっても冴えない人生を送っていた私に対して毎年律儀にチョコをくれていた幼馴染がいた。その年も彼女からのチョコを期待していたが「今年はないよ」と言われてショックを受けていた。
確かに幼馴染は私と違ってイケイケなギャルといった感じで陰な私に対して陽な存在だったので、これまでチョコをくれていたことの方が奇跡のようなことだったのだろう。
私が落ち込んでいると幼馴染は「夜、待ってな」と言って去っていった。
その発言の意味がよく分からず待っていると夜の8時頃に呼び鈴が鳴り、出ると幼馴染が立っていた。「よ!来たぜ」と言って家に入って来た。
幼馴染はとても軽い荷物を1つ持っていてそれはチョコではない様子だった。彼女はよくゲームをしに家に来ているのでいつものノリなのかなと思っているとどうやら違った様子で、食卓の方に座った。釣られて座るとカバンの中から紙を取り出して目の前に出して来た。その紙をよく見ると「婚姻届」と書いてあった。幼馴染は「これ、書け」とだけ言った。「妻になる人」欄には幼馴染の名前が書かれていて「証人」欄には既に私の父と彼女の父の名前が書かれて