梨香と真
2008-10-07
「おにいさん、次のお店行こうよ、次」
「い、いや、もう勘弁してよ。梨香ちゃん……」
鼻息も荒く迫る梨香に、真はげっそりとした顔で答える。
今週のほとんどを真は残業に追われ、心身ともに疲れきっていた。
梨香に腕を組まれ、やわらかい胸が当たっているのにもかかわらず、嬉しいと思う余裕もない。
(それに、今週は優良さんと一回もHしてないんだよなー)
優良の体調の問題だったり、仕事に疲れた真がすぐ寝てしまったりと
すれ違いが続いて、なかなかその時間をつくれなかったのだ。
しかも、優良は今日から二日間、友人たちと旅行に出ている。
これは一ヶ月近く前から決まっていて、真も知っていることだった。
優良はいくつか料理をつくってラップをかけ、冷蔵庫にしまっている。
一食か二食をてきとうに済ませればいい算段になっていた。