男にしてくれた人
2008-02-06
俺の親父には兄弟が多い。
一番下の叔母にあたる摂子さんは俺と10才違いだった。
年が近いせいもあって、親の世代という感覚はなかった。
日本風の顔立ちだが歯並びがきれいで美人だった。
摂子さんは俺が小5の時に地元を離れ都会に出た。7年後に体を壊して帰郷した。
親父の実家で療養生活を送っていた。
摂子さんとそりが合わないおふくろは 『あの女は悪い男にだまされた』 とか
『借金を背負わされた』 とか耳を塞ぎたくなるようなことを言った。
俺は大学進学が決まり、地元を離れることになった。挨拶がてら親父の実家に行った。
そこに摂子さんもいた。
久しぶりに見た摂子さんは頬に赤味もさし、いつもより元気そうにみえた。
外は小春日和だったので、俺の付き添いで摂子さんと散歩に出た。
歩きながら摂子さんは都会であったことを話してくれた。
摂子さんは少しお人好しなだけだった。