犬を連れた熟女
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朝晩は結構冷える十一月の朝まだ来西の空に下弦の月がこうこうと輝いていた。
先ごろ夫を病気で亡くした順子は飼い犬のケルとともに散歩をしていた。
落ち葉が舞い散る歩道を向こうから見覚えのある男性が近づいてくる。
やはり犬を連れて散歩中だった。
すれ違いざま突然飼い犬のケルが相手方の犬に襲い掛かった。
そして交尾を始めてしまったのである。
「おはようございます。順子さんお久しぶりです」
職場で事務をしている順子は遠い昔一度だけニアミスのあったこの男に無言で会釈をした。
「やめなさい。ケル。やめてったら」
じっとしてオスのピストンを受け入れる相手方の雌犬に順子はかつての自分をなぞらえやけぼっくいに火が付く思いをひた隠しにするのがいっぱいいっぱいだった。
「ああ。こりゃあできてしまうかもしれないなあ」
ペルと呼ばれる雌犬にたっぷりと子種を注ぎ込んだ飼い犬のケルは我に返ったように体を離し、ワンと一声吠えた。
「ワンじゃないよ。