堕とされた母

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2007-02-04

堕とされた母
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「……まあ、越野くんは、日頃の生活態度も真面目ですし」 
初老の担任教師が、慎重に言葉を選びながら続ける。 
「そんなことをするような子じゃないってことは、私もわかっておるんですが。ただ…」 
応接セットの低いテーブルに視線を向ける。 
そこには、一箱の煙草と使い捨てのライターが置かれている。 
「裕樹くんが、これを所持していたことも事実でして…」 
「………はい」 対面のソファに腰かけた佐知子は、固い表情のまま小さく頷いた。 
卓上の“証拠品”を一瞥してから、隣に座った裕樹へと顔を向ける。 
「裕樹。どうして、こんなものを持っていたの?」 
「………」 
「裕樹!」 
項垂れたまま、なにも答えず、顔を向けようともしない息子の姿に思わず声が高くなった。 
まあまあ、

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