ジョーク

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2009-02-18

 私たち、いつまでも笑っていられたらいいね。 
  
 ぼくは沙代の言葉を思い出した。 
 五年前の春、高校の卒業式で沙代が言った言葉だ。 
 校門で撮った二人の写真は引き出しの中に閉まってある。 
 ぼくはそれを忘れていた。 
 再び写真を思い出したのは、沙代が死んだ三日後である。 
 焼身自殺。 
 底抜けに明るかった彼女、時折、ぞっとするようなジョークも言っていた。 
 少し、いたずらっこだった彼女の周りには、笑い声が絶えなかった。 
 この五年で、いったい彼女に何があったのだろうか。  
 実を言う、ぼくは彼女に淡い想いを寄せていた。 
 彼女はそれに気づいていたのだろうか? いや、気づいていなかった。 
 ずっと友達だった。 
 悲しい。 

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