他人(ひと)の皮を被る 五話
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翌日、須川から映像ファイルの添付されたメールが届いた。
彼の言う通り、隣室の記録映像のようだ。
晃は生唾を飲みながらファイルを再生する。
カメラは由希が露天風呂に入っている間に部屋へ設置されたらしい。
といっても明らかに盗撮だ。
映像は浴衣姿の須川がレンズの向きを調節するシーンから始まった。
カメラを設置し終えた須川は、由希が上がるのをビールを飲みながら待ち焦がれる。
数分後、由希が身体から湯気を立てて現れた。
雪のように白い肌が桜色に火照り、この上なく色っぽい。
由希はタオルを身体に巻きながら、俯きがちにベッドへ座った。
その横へベッドを大きく沈ませて須川が腰掛け、由希に酒を勧める。
だが由希は断固としてそれを拒み続けた。
それはそうだろう、須川のような好色親父に酔わされたらどうなるか解ったものではない。
須川は残念そうに首を垂れた後、由希に向き直って当夜の『ルール』の存在を告げた。
晃