ザーメン処理嬢
2007-12-13
始業間もない午前9時半、私のデスクの電話に内線の電話が鳴った。
《はい、管理課、白井です。》
《おはよう、白井君… 今からお願いしたいんだけど、いいかなぁ…》
それは同じ会社の上司、総務課の新井課長からだった。
《は、はい…いいですけどやりかけの仕事の後でよろしいでしょうか… あと30分ぐらいで終わるんです。》
《ああ、いいよ それじゃあ、いつものところで30分後、頼んだよ…》
私は書きかけの伝票を急いで仕上げ、エレベーターでこのビルの最上階へと向かった。
このビルは私の勤める商社の自社ビル。バブル全盛の時に創業した比較的若い会社である。
景気の低迷に合わせ、数年前は危険な経営状態にあったけれどなんとか持ちこたえている。無論大量のリストラと業務の縮小を余儀なくされたが、入社2年足らずの私は周りの同期社員が次々と退職させられる中、今も残っている。現在この本社で働く社員数は3