(続)Hだけどちょっとイイ話 ~千紘とのその後~
2010-08-30
「あれっ、似てるな!」
あるスポーツイベントの取材で千駄ヶ谷駅の改札を出たときだった。三つほど向こうの改札口に向かって小走りで駆け抜けた女性。他人の空似?振り返ったがその女性はもう人波に紛れて見えなくなっていた。千紘に似ていた。
千紘と別れて10年。俺は一応そこそこの大学に行ってたおかげで大手マスコミ関係(M新聞社)に就職することができた。取材や何やらで女を作るどころではなかった。仕事がしんどくて風俗関係に首を突っ込むこともしていない。いつの間にか俺は女と無関係な生活を強いられ、またそれに甘んじることが続いて、ここ3年ほどは朝立ちもなくインポの手前になっていた。ふと気づいたらとっくに30を過ぎていた。
実は、俺には父親の知り合いの紹介で付き合い始めていた女性がいる。別に好みのタイプでもなかったが、30過ぎで独身の子を持つ親同士の思惑が一致したらしく、結婚を前提(俺はまったくその気がなかったが)で付き合い始めて4ヶ月。相手は小学校の先生だが俺は土日も無関係で関西圏を中心にあっちこっちに飛び回る記者ということでデートもろくにしていない。メールのやり取