合い鍵
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頼子が久しぶりに深酒した。午後六時に始まった小学校の同窓会が二次会に流れ、三次会に付き合ったところまでは憶えている。でも、その後、どうやって家までたどり着いたのか殆ど憶えていなかった。それでも酒には強い方なので足取りはしっかりしている。
玄関で鍵を差し込もうとするのだが、何度やっても上手く入らない。おかしいな、と思いながら別の鍵を差し込むと今度はすんなり入った。
「何だ、こっちの鍵だったの。」
深くは考えず、玄関に転がり込んだ。男物の靴が目にとまった。
「あら、やだ。帰ってるわ。泊まりだって言ってたのに。」
独り言を言いながら靴を脱ぐ。ハンドバッグをテーブルに置き、次々と洋服を脱ぎ捨てる。一刻も早くシャワーを浴びて体から酒を抜きたかった。
「何でシャワーがないのよ。」
浴室にあるはずのシャワーがない。ぶつぶつ言いながら風呂の残り湯を立て続けに浴びた。頭の芯にしみ通る水の冷たさが気持ちよかった。
「清さん、もう寝ちゃったの。」
浴室から出るとバスタオル一枚巻いた体で隣のドアを開ける