聡子13歳 その1それはお昼休み。

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私の通う中学の教室は、この時間ものすごい熱気で溢れかえっている。おしゃべりに花を咲かせる女子生徒たち、プロレスに興じる男子生徒たち、そして無数のグループに分かれ、雑誌や漫画を覗き込んでいる生徒たち…
 私も、そんな熱気の中の一つだった。今私の周囲には、3人の女生徒が集まっている。3人は黄色い声を上げながら、タレントやスポーツマンの先輩たちの話題に興じていた。彼女たちとは、入学してすぐ知り合った。向こうから、私に声をかけてきたの。その時から、私と彼女たちとの間には、誰にも言えない秘密があった。

 私、いまから恥をかくの。死んだ方がいいとさえ思えるような恥。
 それが彼女たちとの「約束」だった。約束を守らなければ、今の私には破滅しかない。
 私の後ろにいた優子が、突然私の頭をはたいた。何の脈絡もない。力も入っていず、痛いこともなかった。端から見ていれば、じゃれあっているようにしか見えないだろう。
 …でも、これが合図…
 「やぁ、いったぁい!」
私は「打ち合わせ通り」、右後ろに座っていた子の膝をはたいた。


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