母③

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亀田さんは①で書きましたが60歳のお爺さん
僕のお爺さんの代から魚捌きの職人として我が家の仕事をして
もらっていました、父が亡くなり母の時代になっても律儀に仕事を
こなしてくれていました。

突然、亀田さんが店を辞めさせてほしいと言って来たのです、
本当に突然です、今、亀田さんに辞められると中途半端な僕の捌き
では付いているお客様にも逃げられてしまう、困りました。

亀田さんの話しを聞きました。
亀田さんは一回結婚していました、子供は女の子一人、
奥様は今で言う不倫、男といなくなってしまったとの事、男が
一人で子供を育てる事も出来ず、いなかの親に育ててもらって
いたのです、その子も嫁に行って、年老いた両親の面倒を
みたいからいなかに帰るとの話しでした。

本音は・・・
お父さんが亡くなった時、あわよくば母と一緒になって店を継ぎ
僕が一人前になったら、田舎に帰ろう、母と一緒に、なんて考えていたみたいでした。


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