着物を着た女の子
2011-04-23
毎年夏、俺は両親に連れられて祖母の家に遊びに行っていた。
俺の祖母の家のある町は、今でこそ都心に通う人のベッドタウンとしてそれなりに発展しているが、二十年ほど前は隣の家との間隔が数十メートルあるのがざらで、田んぼと畑と雑木林ばかりが広がるかなりの田舎だった。
同年代の子があまりいなくて、俺は祖母の家に行くといつも自然の中を一人で駆け回っていた。
それなりに楽しかったのだが、飽きることもままあった。
小学校に上がる前の夏のこと。
俺は相変わらず一人で遊んでいたが、やはり飽きてしまって、いつもは行かなかった山の方へ行ってみることにした。
祖母や親に「山の方は危ないから言っちゃダメ」と言われていてそれまで行かなかったのだが、退屈にはかなわなかった。
家から歩いて歩いて山の中に入ると、ちょっとひんやりしていて薄暗く怖い感じがした。
それでもさらに歩いていこうとすると、声をかけられた。
「一人で行っ