跡形も残らない夜空 vol.4
2008-09-07
跡形も残らない夜空 vol.3
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その時の俺は紗恵さんが今まで見た中で、いちばん間抜けな顔をしていただろう。紗恵さんの言ったことがしばらく理解できなかった。
「あの……大丈夫?」
紗恵さんが、少し心配そうに聞くまでフリーズ状態だった。
「あ、いえ……え? ええ?」
……つまり彼氏じゃなくて彼女ってこと、だよな。
「あ、ああ、そういうこと、ですか」
「……」
紗恵さんは黙って俺の目を見つめていた。俺はそれまでの疑問が一気に解けて、深く溜息をついた。
「驚いた?」
「は、はい、まあ……」
そうか、だから紗恵さんは今まで何人もの男性社員の誘いを断り続けていたんだ。いや、つきあってる人がいれば当然のことだけど。
「じゃ、男の俺には、初めから望みはなかったってことですね……」
そういうことなら仕方がない、この二