伊勢神宮参り その後
2008-11-13
年末旅行から帰り、正月を迎える。
仕事納めまでは忙しく、オオカミ様のお社へ行く暇は無かった。
大晦日の夜、俺は除夜の鐘が鳴り始めるのと同時に家を出て
オオカミ様のお社へ向かった。
色々と想う事は有るが、とりあえずは伊勢から無事に帰ってきた報告と
新年の挨拶を兼ね、またもしかすると戻って来られているのではないか
との淡い期待も込めて新酒と髪飾りを持って来た。
流石にかなり山の中にあるオオカミ様の社まで来る人は居ない。
神主さんにより灯火が点され酒樽が奉納されていたが、
誰も居ない境内は雪の中で静寂に包まれていた。
鳥居を潜り、お社の前まで行き、酒樽と髪飾りを置いてお祈りをする。
しばらくの後に目を開けると、目の前にあの少年が立っていた。
俺はちょっと驚いたが、静かに落ち着いた気分のまま彼に話し掛けてみた。
「貴方は、どなたですか?」
少年は数瞬の後に想像していたより低め