アルミ缶の上に

開く
2007-09-11

少女は座り込んでいた。
明るいライト目掛けて自殺虫がバチバチと突っ込むコンビニの前。
吐く息が白い。
いつもならば布団の中に入っている時間。
家に戻ろう、と何度も思った。
しかし、そのたびに頭をよぎる男の顔がそれを遮る。

数ヶ月前、母親はその男を連れてきた。
少女はその男を見たとき、『お客さんだ』と思った。
しかし男は一向に変える気配を見せない。
いつしか男のいる生活は当たり前となっていた。


学校から帰り、アパートのドアを開ける。
煙たい。
部屋に入るとまず目に入るのは男の背中。
タバコをくわえたまま少女の顔を一瞥すると、にやりと笑った。
ぎらりと光る黄色い歯、少女は男が好きになれなかった。
襖で仕切られた2つの部屋のうち、片方は少女の部屋となっている。
少女はランドセルを置いて部屋着に着替えるのが嫌いだった。
いくらきっちり

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