「あの者に、ほうびをとらせよ」
2009-05-10
有名な水戸黄門光圀が、領内を巡視中のことである。
かねて、親孝行者に、ばくだいなごほうびをくださるという、老公のうわさをきいていた大の親不孝者。
ほうびをせしめるチャンスとばかり、平素、虐待し続けていた母親を背負って、さも孝行者らしく、老公の行列を拝していた。
ふと光圀公が、それをご覧になって、側近に命じた。
「あの者に、ほうびをとらせよ」
「なんと仰せられます。彼奴は人も知る、大の不孝者でございます。今日、あのように母親を背負って行列を拝しているのは