最悪な男

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2008-12-04

その日、オレは転校を数日後に控え(東京の郊外に、父が家を持ったのだ)最も仲の良い友達とマッチを擦っていた。
その頃、幾らだったろうか。
最初はほんの悪戯心からだった、だが次第にマッチが造り出す炎に魅せられて、次第に大箱のマッチはその数を減らしていく。
友達と二人、魅入られたように、次々と炎を造り出していく。
12月の、冬枯れた薄の中に。

そのアパートの道、道という程のこともなく、舗装もされてない
脇には枯れたススキが生い茂る
その中央に人に踏みしだかれたみちのような路がある
かつて、太宰治が愛した道だ。
そんな所で、オレと友達はオレンジの、青い炎を見つめていたんだ。
オレ達は、親に

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