レイナ5
2014-05-25
「傘、持っていきなよ」
近くだから平気、と言う俺に、
そこで待っていろ、という仕草をした。
それから急いで鍵を取り出して玄関のドアを開ける。
すると、ちょうど家の奥の方で電話が鳴り出した。
彼女は手振りで俺を招く。
電話に出たいから中に入っていろ、という意味だろう。
大した雨ではなかったけど、俺は、その言葉に従った。
一分もしないで、彼女の電話は終わる。
「親から」
玄関先は暗く、彼女の姿はぼんやりと見えた。
靴を脱いで室内に上がり、
玄関先に立つ俺を見下ろすように話し出す。
電話の内容は、
親の帰りが遅くなるので先