泣かない約束
2006-03-01
「半年持たないかもしれません」
主人の余命がそう宣告されて二人で泣いた日、
「今日を最後に泣かずにいよう」と約束した。
彼は随分と憔悴した。
見せまいとしても、痛む姿を目の当たりにした。
彼は手術を受けると言った。
命が延びなくても、その延命手術を受けて死にたいと言った。
医学の役に少しでも立つならそうしたいと、「いいよね」と私に言った。
たぶん、それで死ぬことを分かっていたんだと思う。
手術を受ける前の日、家族で集まった。
お別れだと、誰もがわかっていたけど励ましてた。
彼の弟の子供、3歳になる私の甥っ子も、彼と笑って遊んでいた。
私は妊娠しづらい体質だった。
「焦らないでいいよ、時間はあるから」彼はいつもそう言っていた。
けれど、子供は出来ないまま、時間は余りに早く過ぎた。
彼は甥っ子の頭をくしゃくしゃに撫でながら抱き締め、
「リョウ。パパとママの言う事聞いて、いいコ