祭りの夜に
2010-03-19
夜の神社。それは静寂と不気味さの中にあって、どこか厳かで俗世間から隔絶された異質な空間である。しかしそんな境内も、祭りの日となれば様相はガラリと変わってしまう。あちらこちらで篝火が焚かれ、夜を徹して地元の男達が出入りする。
祭りは二日に渡って行われる。メインである神輿が登場するのは二日目で、その前夜は祭りの到来を人々に知らせるという意味から、夕刻から深夜にかけ、鐘や太鼓を吊るした竹筒を前後で男達が担ぎ、それらを鳴らして町を練り歩くのである。これは何組かに分かれて交代で行われるため、待機する者達は境内で自分の番になるのを待つのだが、皆年に一度の祭りとあって、血気盛んな若者を中心に男達は無礼講とばかりに酒を飲み、すでにすっかり酔い潰れている者もいる始末であった。
そして境内から離れた人気のない林の中にあっても、暗闇と静寂の中で篝火の灯りがほのかに照ってき、人々の賑やかな声が届いてきていた。本来なら誰も立ち入る必要のないそんな林の中に僕はいた。
僕の前に、屈強な四人の男達がいた。
木の幹を背に立つそんな僕の周りを、男達が取り囲む。赤