動かされる前の心

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2006-02-17

「いってくるー」
「いってらっしゃーい」
玄関の閉まる音。雪尋がバイトに行った。
「…はぁ」
どさっ、とソファに寝そべる。その音が響くほど、家の中は静かだった。
お父さんは仕事、お母さんは買い物、そして雪尋はバイト。今この家は、私一人だった。
だからといって、何かをする気力もない。テレビをつけるのも面倒で、そのままぼーっと寝転んでいた。
そうしていると、自然に思い浮かぶ事。

雪尋の、こと。

(暇つぶしに弟を思い浮かべる姉って…なんだかなあ…)
そう思いつつも、イメージは勝手に組みあがっていく。

悪戯っぽい笑みを浮かべた雪尋。何かからかおうとする時は決まってする顔。だからわかりやすいのだけど。
しどろもどろになって慌てる雪尋。悪戯するのは好きな癖に、あたしがちょっと乗ってやるとすぐにあたふたする。全く、可愛い奴め。
怒った雪尋。笑った雪尋。「仕方ないな」という顔をして、いつもあたしの

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