いねむり
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中学3年の秋の写生大会でのことです。
僕はひとり学校から少し離れた神社の階段にすわり、眼下に広がる風景を描いていました。
当時の僕は絵を描くのが大好きだったので、あえて友達とは離れ離れになって
一人でかいていました。
前もって下見をしていた場所に着くと、僕は、無我夢中で絵を描きはじめました。
あっという間に午前中が過ぎ、昼になって弁当を食べ終わると、
再び僕は画用紙に向かいました。
それから何分かたった頃でしょうか。
はっとして、後ろを振り返ると、美術の担任の先生がにっこり笑顔で立っていました。
「もう、先生、びっくりさせないでよ…」
「ごめんね〜。でも、Kくんさ、すごい真剣に描いてるんだね」
「…」
「私ね、中学1年からKくんのこと知ってるけど、いつも放課後遅くまで残って描いてたもんね。
それで校内写生大会だといつも特選になってたでしょう。先生、いっつも感心してたよ」
「絵、好きですから」
「そう