初めての精飲
2007-03-26
悪いことを始めたという感覚はなかった。
冬の明け方は空気が痛いほど冷たくて
ただ繋いだ手だけが温かかった。
大通りのど真ん中でキスをした。
抵抗をしろなんて後から言うのはずるい。
二人きりの密室のエレベーターが
最上階までやたら長く感じた。
沈黙が気まずくてキスをした。
上手く開けられない私の手から鍵が奪われ
扉の開く音がした。
引っ越したばかりの部屋は何もなくて
酒しか入ってない冷蔵庫を見て呆れていた。
ほっとけ。
酔っ払いは寝ろって言われて布団に倒れこむ。
「どうする?」と問いかけた。
これはかけだ。
帰れるなら帰し