昔の話

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 今、私は80歳間近です。今から60年以上も前、私は旧陸軍(所属部隊等は言えませんが)の歩兵でした。その頃の思いでです。

 私は18歳で軍隊に入隊してからずっと男だけの世界にいました。そんな私は20歳になったある日同僚や上官たちと繁華街へ遊びに行くことになりました。
 料理屋の座敷でみんなで飲んでいると私は急に小便がしたくなったので、席を立ち便所へ向かいました。
 その日は客がかなり少なかったので他の座敷は静かでした。しかし、廊下の途中でふと見知らぬ若い女性とすれ違ったのです。料理屋で働いているといった感じには見えぬくらい若くて、仲居の着物を着ているわけでもなく、とてもかわいらしい少女でした。

 私は何かふと惹かれるものを感じました。なので、便所を尋ねるふりをして声をかけてみました。
 すると彼女は、あちらですよ、とすんなり答えてくれました。私は「普段お見かけしませんが、ここの従業員の方ですか?」と尋ねると「私はここの女将の娘の侑(仮名)といいます」と答えてくれました。

 どうやら、偶然部屋から出て来たところなのだそうです。そし


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