夜道での災難
2010-11-27
その夜、俺はいつもの様に仕事を終えて最寄り駅から自宅までを歩いて帰っていた。周囲は田園や雑木林が多く、そこは夜にもなればあまり人通りのない寂しい場所だった。
そんな夜道をいつもの様に歩いていたのだが、その日は夜も遅い時間帯であった事もあり、運悪くいかにも暴走族風の連中が五人ほど、道の片隅にバイクを止めてたむろしていた。
俺は嫌な予感しかしない中、そそくさと彼らの前を通り過ぎようとした。
「おい、ちょっと待てや」
しかし案の定、俺は彼らに呼び止められ、取り囲まれてしまった。
「あのさ、俺ら今すっげぇムカついてんの。サンドバックになってくれるか、金恵んでれるか、どっちかしてくんないかなぁ?」
威圧感たっぷりの彼らを前に、俺はもう泣きそうになってしまった。当然ながら俺には彼らに逆らう勇気などなく、しかしかといってこのまま素直に金を差し出すというのも堪らなく悔しくてならなかった。
とっさに俺は、ある一計を思い付いた。
「君ら、ここら辺の子?」