異説『ヘンゼルとグレーテル』
2010-08-26
昔々、ある小さな村にヘンゼルとグレーテルという、とっても仲のいい兄妹がいました。家は貧しかったものの、優しい両親の元、二人は幸せな日々を送っていました。
ある日の夕方、二人は薪を拾いに村外れの森へと向かいました。
しかし運悪く、二人が薪を拾っている最中、空は急に雲を厚くさせていき、ポツリポツリと雨を降らせてきたのです。
二人はすぐに帰ろうとするも、あっという間に大雨となってきてしまい、やむなく二人は森の中の小さな洞窟で雨宿りをする事にしました。
しかし雨はなかなか止みません。
「雨、止まないね」
洞窟の中で、不安そうにグレーテルは言いました。
そんなグレーテルを、優しい兄のヘンゼルが元気付けます。
「しょうがないよ、しばらくここで待ってよ」
「うん」
二人は岩壁にもたれて並んで座りました。
しかしひんやりとした洞窟の中、グレーテルは寒そうに身を固めていました。薪を拾いにやって来ただけに、火を起こす道具など二人は持っていません。