くしゃくしゃの1万円札

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2012-08-20

俺には優しいおじいちゃんがいた。
親に怒られて泣いてる俺を慰めたり、病気になったときには手厚く看病してくれた。
俺の親は二人共働いて、家にいるときは少なかった。そのときに世話を見てくれたのもおじいちゃんだった。
でも、高校生のとき、おじいちゃんに嘘をついてお金を貰ってしまった。
「おじいちゃん、友達にお金返さなくちゃいけないからお金貸して。」
そしたらおじいちゃんが、
「おお、そうか。借りたものは返さなくちゃなぁ。」と言い、俺なんかにお金をくれた。
今でも覚えている。
くしゃくしゃの一万円札だった。
俺は何も悪びれることも無く、その一万円札を遊びに使う。
一回だけじゃない。何回も…

それから2年後、おじいちゃんは亡くなった。
肺ガンだった。

棺桶に入れられたおじいちゃん。すっかり痩せ

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