教訓2

開く
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右手を息子から離して慌ててバイクのミラーを調整する。
そしてすぐにまた息子に手をやりカツを入れ始める。
近づく足音。
俺はミラーを確認しながら、ウーとわざとらしく声を出した。
ミラー越しに見える彼女。
一瞬俺の姿に驚き立ち止まる。
視線が息子に泳いだように見えた。
そしてしばらくカツを入れてからわざとらしく左手にいる彼女に気づき驚いたふりをした。
彼女は視線を下げてバイクの後ろから自分の自転車へ回り込んだ。
 こんにちわ。何年生?
平静を装って声をかけてみた。
「四年生です」
意外だった。
背もすらりとしていて5年くらいと思った。
鍵を開けて少し慌てた様子で自転車を出そうとしている彼女。
もう、サイは投げちまった。
行くしかない。

俺は彼女の動きを止めようとすぐに質問を投げかけた。
 今、見たよね。おじさんのこれ。
「見てません」


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