バタコ 「あっ、あくぅぅっ!これって……ジャム!?」
2010-10-19
ある朝のこと。
いつものようにバタコはよく捏ねられたパン生地を丸めて鉄板の上に並べる作業に勤しんでいた。
戦いに備えてアンパンマンの新しい顔を作っているのだ。
それはもう何年も変わらない、見慣れた光景だった。
「おはようございます、バタコさん。今日もお早いですね」
「おはよう、アンパンマン」
「では、パトロールに行って来ます」
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
これも見慣れた光景。
このパン工場ではまるで一切の時間が止まっているかのように、同じやりとりが繰り返されていた。
しかし、それを取り巻く環境は確実に変化していた。
カバオ達はすでに卒業し、ミミ先生も結婚して退職。
学校自体も過疎のため廃校になっていた。
長きに渡りアンパンマンを攻めあぐねていたバイキンマンも、他の戦地に主力を移したのかその襲撃回数は極端に減り、