姉ちゃんと二人乗り
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大学に入ってから猛烈にバイトして、バイクの中型免許を取り、秋に250㏄の中古バイクを買った。レーサータイプじゃなくて、少し時代もののデザインのおとなしいタイプ。
毎週日曜日は遠出するようになったら、出ていくときとか帰ってきたときに、姉ちゃんがちょっと興味を示してきて言う。
「こんどあたしも乗せてよ」
ちょっと迷惑という気持ちがあった。姉ちゃんは大学3年。うるさい姉貴だった。
「遠くまで走るんだよ」
「いいよ。どっかきれいな景色のとこまで連れてって。ランチごちそうするから」
「免許取ったばっかりだから、高速の二人乗りはできないよ。下道を通るから、遠くには行けない」
「一時間ぐらいの範囲でも、いいとこはあるでしょ」
「メットなしじゃ乗せられないよ」
「誰かの借りるから。それとも、彼女を乗せるの?」
「いないよ」
「じゃあいいでしょ」
しかたなく、次の日曜日に乗せてやることにした。
二人乗りするときの注意なんかを事前に話しておいて。