私が愛したブロンズ像
2016-02-24
20160103-私が愛したブロンズ像(改)
朝、目が覚めると、やけに寒気がしてカーテンを開けた。思った通り雪が降り積もっていた。イブには、これ位雪が降っていないとつまらないが。それにしても寒い。私は堪らず身震いして、石油ファンヒーターのメモリを上げ、身体が冷えないように急いで身支度を始めた。
出勤の30分前。毎冬恒例のいまいましい雪かきをしながら思う。
私は、昨夜から降り出した雪が、根雪になってイブを向かえるのが望ましいと思っていた。それでも、これからは毎日のように雪かきをしなくてはならない事には不満を持っている。しかし私は、ここから雪の無い内地へ引っ越す気にはなれない理由が有るのだが。
答えの決まった押し問答をしながら、スコップで歩道をひたすら雪かきをするのだった。
朝の労働から解放されて、バスにやっと間に合った。肩で息をしながら吊革につかまっていると、バスは坂道を下って幣舞橋に差し掛かった。私は、いつものように、窓の凍りを手で溶かし外を見る。
――薄絹一枚をま