「アイドルはトイレに行かない」は宗教的信仰である
2023-07-03
「アイドルはトイレに行かない」
これは現代の日本において常識である。
もっとも、本当に排泄しないとアイドルはものの数週間で死ぬことになる。じゃあウソか、と言われると制したくなるのが人なのである。
宗教がそれほど強く生活に根差しているわけでもない日本においてもかなり広く共有されているという意味で、これは一つの宗教的教義のようなものであるともいえる。
幸田文の幼年期を描いたエッセイである「みそっかす」では、
「きれいな人がなぜ排泄なんかするのだろう」
という一文がある。
明治から大正にかけて幼年期を過ごした氏でも「きれいなひとは排泄をしない」と認識していたわけで、こうした直感的な認識は「アイドルはトイレに行かない」という教義ともつながる部分がある。
実はこの美しさと排泄の問題は、極めて哲学的な問題である。
ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」という作品には以下のような言葉がある。少し長いが引用してみる