紡いだ命

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2006-09-10

気が付くともう日が暮れようとしていた。どれくらい時間が経ったのかハッキリしない。
俺と姉さんは、ずっと両親のお墓の前に立ち尽くしていた。

事の起こりは俺と姉さんが、お金を出し合って夫婦水入らずの旅行をプレゼントした事だった。
その帰り、二人は高速道路での衝突事故に巻き込まれ帰らぬ人となった。

両親の訃報を聞いた時、俺は正直実感がわいてこなかった。どんな事態が今自分達を
襲っているのか分からなかった。

変わり果てた両親の姿を病院で見たとき、初めて俺は「ああ、本当に死んだんだ」と実感した。
それから俺は、涙が枯れるまで泣いた。こらえようとしても無理だった。

だが、姉さんは悲しげな顔をしつつも、一度も泣かなかった。
少なくとも俺は姉さんが泣いているところを見たことが無い。
泣いてる俺をそっと撫でてくれた姉さん。

それから葬式を終え、俺達は二人だけになった。
親戚もいない

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