高速バスの女[1]
2008-12-17
僕はその若い女を横目でちらちらと見続けていた。
( こんないい女、見たことない・・・今日はついてる! )
僕がいま乗っているバスは、信州から新宿までの高速バスだ。
2ヶ月ぶりに信州まで行った僕が、帰りに乗ったこの高速バスで出会ったのが彼女だった。
実はバスに乗る前、信州の始発バス停で並んでいる時から彼女には目を付けていたのだ。
ベンチに座る彼女の、その思わず目を見張らされる、上品でいて女優のように美しい面長の顔立ち。
さらさらと流れる肩の先まである美しい黒髪。
若いのに今時の女のように髪を染めていないその黒髪の美しさにも目を奪われた。
他にも若い女は何人も並んでいたが、彼女の美しさはまるでガチョウの群れの中に舞い降りた白鳥のようだった。
優しげなラインを描いている眉の下には、理知的で大きな瞳が人を吸い寄せるように輝いている。やや日本人離れをしたスッと通った鼻の下には、少しぽってりとしていかにも柔らかそうな薔薇色の唇。
思わず振るいつきたくなるような白