きみにはまだカリカリは早いな、かんづめとミルクだね
2011-04-30
689 :おさかなくわえた名無しさん:2010/07/06(火) 09:03:56 ID:Yy9OqTIA
「…おい。しっかりしろ」
寒い寒い風の吹く、冬の日だった。
お腹がすいて草むらにへたり込んでいた僕に1匹の猫が声をかけて来た。
「ちいさいな…おまえ、母ちゃんやきょうだいはどうした」
「…わかんない。いつのまにかひとりになってた」
「そうか…。どこか行くあてはあるのか」
「……ううん」
「……」
「…おい、ちび。包丁はもっているか」 しばらくの沈黙のあと、その猫は僕に言った。
「?」
「もってないのか…なら、これをつかえ」
そう言って彼は、一本の小さい包丁を取り出した。
ちょっと古ぼけてはいたが、それでもきらりと光っていた。
「おれは…もう、つかえないから」
彼は、ちょっと寂しそうにそうつぶやいた。よく見ると、彼の体はうっすらと透けているよ