不釣り合いな俺と彼女

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2018-06-02





 山の一本道、赤い外車がこちらを向いて止まっていた。そのかたわらで、俺の車に気付いて懸命に手を振る一人の女性。俺は見とれてしまって、少し行き過ぎて車を止めた。
「よかった、止まってくれて」
 女性は三十代後半のふっくらした面持ちで、とても嬉しそうに笑った。夏なのに紺色のスーツ着ていて、とても暑そうである。
「どうしましたか?」
「車を止めて風景を眺めていたら、エンジンが掛からなくなって」
「分かりました。見てみましょう」
 ボンネットを上げて故障個所を探した。どうやらオルタネーター(発電機)のベルトが切れて充電できずにバッテリーが上がったようだ。
「原因は分かりましたが、部品がないので直せません。でも、ストッキングがあれば代用できますが」
「え?」
 女性は自分の足元を眺めると、ちょっと躊躇して脱ぎはじめた。それも俺が見ている目の前で。日焼けしていない太ももが、俺をドキリとさせて下を向いてしまった。

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