ランドセル(FAINAL)
2004-08-20
<第一章 夜明け>
年が明け、新緑の季節を迎えようとする3月の終わり、私達兄妹に転機が訪れようとしていた。
父が仙台支店へ転勤を命ぜられたのだ。
当初は子供達の転校を理由に、父一人で単身赴任を考えていたようだったが、直紀たっての
希望が通り、家族全員で仙台に行くことが決まった。
母は今まで働いていたアルバイトの仕事を急遽辞め、私達兄妹は新たな学校へ転入届を提
出し、そして、直紀は担任に自分が転校する事と、転入先の場所をクラスメートには絶対知ら
せないように頼んだ。
勿論、その理由は鈴木達に知られたくない為であったが、担任も直紀が虐めにあっていた事を
薄々知っていたのか、一年の終了式を迎えた最後の日にも直紀は別れの挨拶をする事なかった。
また、ユリも直紀と同様に友達と別れの言葉も交わさないまま、最後の屈辱を迎えようとしていた。
9ケ月にも渡る忌まわしき日々。
いつものようにユリは幼い体を鈴木達に貪られ、そして、白