蛍が運んでくれたもの

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2007-04-29

去年の7月、もうすぐ4歳になる娘を連れて2人で蛍を見に行った。

あたりの暗さが徐々に増すと、空中を飛ぶ蛍の数が一段と増えた。
「クリスマスみたいだね?パパ。」
森をバックに点滅しながら飛ぶ蛍や、木の幹や枝、葉っぱに止まって光る蛍。確かにクリスマスツリーのイルミネーションを見ているようだ。
生まれて初めて見る蛍に興奮気味の娘。
一匹の蛍が舞い降りてきたかと思うと、ふわりと娘の手に止まった。淡いグリーンの光を放ち、ゆっくりと点滅を繰り返す。
娘は満面の笑みを浮かべながら、じっとその姿を見つめていた。
ほんの僅かな時間だったが、やがて森の方にゆらゆらと飛び去った。
「Aちゃんがまだママのお腹の中にいる時、パパとママはここに蛍を見に来たんだよ。Aちゃんと同じように、その時もママの手に蛍が止まったんだよ。」
「じゃあ、さっきの蛍はママのと同じ蛍かな?」

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