妹が風邪をひいた日・・・

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2006-03-04

「ホントにあんたが帰ってて良かったわ。お母さん、今日の会議はどうしても休めない の。おかゆは作ってあるから、頼むわね」
「わかったよ、母さん。佑香のことはまかせて」
 玄関先で、隆史は答えた。
 冬休みがあけて、中学校が始業式の日、妹の佑香が風邪をひいて寝込んでしまったの だった。帰省中の隆史は下宿に帰るのを遅らせて、妹の看病兼留守番を引き受けるこ とにした。
「佑香も、がらじゃないのに長風呂なんかしてるから、風邪をひくんだわ」
「まあ、あいつも年頃になってきたんじゃないかな。今日から学校だからきれいにした かったんだろう」
「うーん、あの子も色気づいてきたのかしらね。じゃあ母さん行ってくるわ、お兄ちゃ んなんだから、ちゃんと妹のこと看病してね。遊びに行ったりしちゃダメよ」
「わかってるって、いってらっしゃい」
 バタン!
 ドアが閉まり、母が出ていく。
「さてと……」
 隆史は本を抱えて、妹の部屋に向かった。



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