動かされる心
2006-02-17
「……」
「……」
沈黙を保ったまま、並んで歩いていた。
そっと、雪尋の顔を見る。自然と、視線はその唇へと向かう。
雪尋の、唇。あたしとキスした唇。Eとキスした唇。…そしてきっと、他の人とも。
雪尋はキスに慣れている、と思う。それは以前、キスしたときにも思ったことだけど。今日のEとの様子を見て、やっぱりそう思った。
Eがキス魔なのは、あたしたちみんなが知っている。あたしも、酒の上での戯れで、Eとキスしたことがあったけれど。
Eはもの凄くキスが上手い。舌を巧みに絡めて、相手の思考を奪ってゆく。
恥ずかしいことに、あたしもあっという間にフラフラにされてしまった。相手を虜にするキスというのは、ああいうものなんだろうと思う。
でも雪尋は、Eとキスしながらも抵抗してみせた。
Eが飲み会でいろんな人とキスをするのを見てきたが、抵抗できる人を見たのは初めてだった。
だからきっと、雪尋も相当にキスが上手いんだと思う。そして、