ヒトメボレ
2005-03-05
恋なんて、幻みたいなもんだと思ってた。
帰り道でいつもすれ違う同じ学校の制服を着た女の子……彼女を、気にし始めるまでは。
授業中、食事中、果ては寝る前までも。彼女の事ばかりを考えてしまう日々が続き、僕は確信した。
これは俗に言う一目惚れというやつだと。それも、かなりの重症だ。
きっと、僕が生まれて初めて体験した恋愛感情だったんだと思う。
動悸がおさまらなくて、頭の中は真っ白で……すれ違う一瞬が永遠のように長い時間に感じられた。
好きだ、と言いたかった。
何度か話しかけようとはしたのだが、無理だった。僕は毎日、口を貝のように閉ざしたまま彼女の後姿を見送っていた。
直接言うなんて出来やしない。古典的な方法だが、彼女の家を突き止めて手紙で告白しよう。
そう決めた僕はある日、彼女に感付かれないように、一定の距離を保ちながら後をつけることにした。
ストーカーの真似事みたいで、躊躇う気持ちも多少あった。
が、彼女の家を知るためだけであって、他意はないと自分に言い聞かせ