純朴な彼女の不可解な行動の顛末

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2013-11-19

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見上げれば空の端は明るくなりつつある。
夜勤の仕事を終えたボクは駅へ向かっていた。

ふいに刺すように冷たい風が吹いてボクは思わず首をすくめる。
もうすぐ始発電車が走り始める時刻。
疲れた足取りで駅の改札口へ向かっていると、ボクのすぐ脇を若い娘が追い越し通り過ぎていった。
冷たい空気を伝って甘い香りが鼻腔をくすぐる。
その香りは繁華街に漂う淫猥な匂いを連想させた。
しかし、色白でほっそりとした娘の面差しは水商売を連想させるようなものではなかった。
理由はわからないが、何故かその娘が出勤でなく朝帰りなのだとボクは直感でわかっていた。

暗いガード下をくぐり抜ければ改札口。
娘の後ろ姿を追う形でボクも自動改札へ向かい足を動かす。
ハンドバッグから定期券を取り出すのに手間取った様子の彼女にボクは追いついてしまった。

まだ乗降客は少ない時刻。
娘に少し遅れて改札を抜けたボクは、彼女に続いて昇り階段を登り始めた。


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