民宿

開く
2007-12-19

 学生のころ、北海道から東北へと自転車で一周した。夏だった
から寒くてもせいぜいシュラフにくるまって寝れていたんだが、
福島から北上して宮城に入ったところで熱を出した。地元の北海
道スタートで、日本海側を既に回っていて、青森でフェリーに乗
る予定だったから「リタイヤしたくない」と思い、医者に駆け込
んだ。


 「風邪だね」。老いた医者は「少し休むように」と言って、薬
をくれた。仕方ない。あまり金に余裕はないが、宿に泊まること
にした。ふらふらするので、あまり選ぶ余裕はなく、自転車を押
しながら、最初に見つけた民宿に決めた。


 予約なしだったんで、応対してくれた70歳代とおぼしき小柄
なじいさんはちょっと訝ったが、事情を話すと「すぐ布団しくか
らな」と優しく言って部屋を用意してくれた。部屋はちょっと湿
っぽく薄暗かった。エアコンはなくて、かたかた扇風機がまだ頑

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