黒猫探偵局 (主演:柴崎コウ)
----/--/--
「特技は猫と話ができる事です。」
彼女はそう言って俺を見つめた。ひっつめた黒髪に、猫のような大きな瞳、黒いタートルネックに、黒いショートパンツと黒タイツ。全身黒ずくめの姿は、猫と話ができるというホラを、信じさせるだけの雰囲気はあった。
試用期間は給料は要らない、事件解決ごとに出来高給を頂ければ、探偵助手をやります、という熱心な売り込みに負けて、彼女を採用してみる事にした。
手始めに失踪した女子大生の捜査をやらせてみる事にした。資料を手に中古のダットサンに乗る俺と彼女。気のせいか街のいたる所に、猫がたむろして俺たちを見ている。
女子大生が住んでいたマンションの前で、彼女は猫たちと向き合っている。ミャアミャアと会話をする猫と彼女。ふざけているとしか思えなかったが、わかりました、と彼女は言った。
「女子大生は隣町のアパートで、こんな男に監禁されているそうです。」と下手くそなイラストを描いた。
半信半疑のまま、そのアパートへ赴くと、窓を締め切った部屋が気になった。
「あそこです。」
指差す彼女の傍で、猫たちも成り行き