20160412-転生97P 書き換えました
2016-04-29
20160412-転生
クラクションの音。バスのブレーキの排出音。バイクのいかれた空ぶかし。横断歩道ののどかな電子音。そして、人の騒めき。
つむった目を開けると、目に前に大きな電子掲示板が見えた。サラ金の宣伝をしてた。あたかも、お得ですよと言っているような、そんなCM。
わたしは、この世の事が全部虚像だと気付く。本当の事なんて何も無い。けれど、自分に一番嘘を付いているのは、この自分自信だ。そう思うと、スクランブル交差点の前で足が止まった。どうしても、前に進まなかった。
きっと今渡っている人はみな、目的を持ってどこかに向かっているんだ。けれど、わたしは……。
わたしは、交差点の前で渡るのを止めた。なんだか、無意味に思えて。
誰かが、わたしの背中にぶつかってきた。それを合図のように、わたしはスカートの裾をひるがえし、踵を返した。
すでに交差点を渡り始めた高校の女友達は、驚いて声を上げる。
「なに?」
「瞳ー。どうしたの?」