20170912-転生4 あでゅー六十枚
2017-11-24
一
一九九八年夏。
「香耶(かや)ー、香耶ーー!」
はあ、はあ、はあ、はあ。ごっくん。
僕は、うなされて目が覚めた。酷く汗をかいて、心臓はばくばくと脈を打っている。
カレンダーを見ると、一九九八年七月。
確か、今見た夢は平安時代の服装だったように思う。なぜ、そんな夢を見たのか分からない。それに、香耶なんて名前も聞いたことがない。一体、何なんだ……。
僕は、重い身体を起こして、シャワーで汗を流した。
蝉がうるさく鳴いて太陽の日差しに身体が溶けそうな頃、僕はW大学の講義室で授業を受けていた。しかし、ろくに効かないクーラーと、今朝見た夢の所為で頭がボーとしている。こんなことならサボればよかったと後悔していた。
「おーい、松浦君! 松浦順一君!」
「え?」
「何ぼんやりしてるですか」
「あ! すみません」
「教科書の三十一ページ、六行目から読んでください」