冬の一日

開く
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外は雪。
しんしんと降り積もるその様子は、昔話の世界のようだった。

谷あいの村なので、空は山に切り取られて少ししか見えない。
妹のさと子とあたしはやぐらコタツにはいってごろごろしていた。

すると、そーっと、障子があいた。
音はしなかったけど、冷たい風がさぁっと入ってきたからわかった。
「たいっちゃんやろ。はよ閉めて。さぶい」
あたしは本を読みながら言った。
「めっかった」
てへへと笑いながら、従弟の太一(たいち)が部屋に入ってきた。
「何してんの」
「なんもしてへん」
あたしは、つまらなさそうに言った。
「入ってええか」
コタツのことを言っているのだ。
「さと子、入れたり」
「えーっ。なおこ姉ちゃんのほうに入りいさ」
「いけず言わんと、入れたり」
「もう」
さと子はしぶしぶ太一に場所をあけてやった。

あたしは「坊っちゃん」の続きを読むこ


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