うたがい3

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2019-05-09

ほっとゆるみかけていた意識。 
これで外せるという安堵感、同時に、ジクジク裸身を疼かせる、物足りないような 
もったいないような残念な気持ち‥‥ 
異変に気づいたのは、もう5分近くもお湯に手枷をひたしたかと思う頃だった。 
手首の拘束が、まるで楽にならない。 
固く食い込んだまま、リングの端をピタリと閉じたままなのだ。 
‥‥遅すぎたの、私は‥‥? 
ヒヤッとしたそれは、うたがいようのない直感だった。 
ぶわっと湧きあがる焦りと衝動を、かろうじて胸の奥に押しもどす。 
大丈夫だ。 
だからこそ、用心のためドアにスリッパをはさんで、失敗した時でも戻れるように 
してあったんだから。家に戻れば給湯器だって風呂場だってある。どうにか‥‥ 
そこで気づいた。 
私‥‥ドアの閉まる音を、たしかに聞いていなかった

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